歩幅は
開いている
速度は
速まっている
一点の陰りが
あっただけ
広がってゆく事を
予期しなかっただけ
邪に揺らめく
感覚は存在しなかった
唯煌めいている
記憶のひとかけら
思い出すと雨が降る
幼すぎる表現
いずれ煙に頼る己は
誰かに奪われたい
奪われればいいのに
ぎこちなく写る眼の
それが今も在ったなら
どれだけ幸せだろう
ついて来てくれなかった
突き放された
ごめん