片腕を無くした人が拾った
綺麗な青いガラスの破片で指先を怪我した
その人は涙を流して
空を仰ぎながら
その中で一番小さな雲を指差して言う
「今目覚めた。俺は俺の信じた道だけを歩く。」
その時上げた泣き声はまさに
ついに生まれた人間の産声
さあ歩くんだよ
これから
一人で
片腕無くたって夢はあるんだ
まるで必死に地を這って生きる蜥蜴
小さな指に降り積もった粉雪
馬鹿しかいない世の中に
そして俺も馬鹿になるんだ
暗い路地裏でヘロインを吸ってるロックスターが
俺に呟いた言葉は一生忘れない
周りに左右されない人生は一番幸せだ
でも一人だけじゃ生きられなくなってしまってる
理不尽なジレンマに悩まされながら
強すぎる精神力で自分のゆく道を選んだ
…
片腕が無いあの人は
今何処にいるかもわからない
もしかしたら死んだかもしれない
でもおれにはそんなの関係ないんだ
ただその人を覚えてるだけで
簡単にその人の価値を見いだせるから
片腕無くした人はずっと昔に
涙を流しておれに言った
「自由は人生だ」