片腕を無くした人が拾った
綺麗な青いガラスの破片で指先を怪我した

その人は涙を流して
空を仰ぎながら
その中で一番小さな雲を指差して言う

「今目覚めた。俺は俺の信じた道だけを歩く。」
その時上げた泣き声はまさに
ついに生まれた人間の産声

さあ歩くんだよ
これから
一人で

片腕無くたって夢はあるんだ
まるで必死に地を這って生きる蜥蜴
小さな指に降り積もった粉雪
馬鹿しかいない世の中に
そして俺も馬鹿になるんだ

暗い路地裏でヘロインを吸ってるロックスターが
俺に呟いた言葉は一生忘れない
周りに左右されない人生は一番幸せだ
でも一人だけじゃ生きられなくなってしまってる
理不尽なジレンマに悩まされながら
強すぎる精神力で自分のゆく道を選んだ



片腕が無いあの人は
今何処にいるかもわからない
もしかしたら死んだかもしれない
でもおれにはそんなの関係ないんだ
ただその人を覚えてるだけで
簡単にその人の価値を見いだせるから

片腕無くした人はずっと昔に
涙を流しておれに言った
「自由は人生だ」